がんばるニート達へのメッセージ

むかし内田樹さんの本のなかのどこかで読んだことがある。

内田さんは合気道の道場を開いているんだけど、むかしまだ内田さんが合気道を学ぶために弟子入りしていた頃、一人の兄弟子がいてその人は合気道の師範からもっと上のクラスに入るための試験を受けるよう促されていた。しかしその人はまだ自分はそんなレベルじゃないから試験は受けられないと断っていた。結局内田さんは試験をパスしてどんどん上のクラスに及第していくんだけど、その人は試験を断り続け一番最初のクラスのままだった。まるで何かのスイッチが入ったようにその人は成長を止め、フリーズしたように同じところに留まり続けた。

たぶんその人は自分はまだ上に行けるレベルではないと信じ続けた、そのことが本当に現実になってしまったのだと思う。彼は前に進むことが許されていないと信じた。だから彼は前に進むことができなかった。

 

ニートについて思うことは、何かのスイッチが入って、僕らはフリーズしてしまって、行動することが不可能になっている状態ではないだろうか、ということだ。

どんなスイッチが?と思う。

人間は目的があるからそれに向けて運動していくことができる。目的は誰もが簡単に到達することができるものであっては困る。なぜならそれは人間がその完成に向けて運動していく理念でなければならないからだ。だからそれは完成されることが許されないものという意味で不在である。

現代社会では自分でつくった目標に自分を到達させなければならない。つまり不在であるはずの目的を自分がつくりださなければならなくなっている。だから現代社会ではどんな行為も偽りである。それは自らがつくりだした幻想でしかないからだ。

ニートたちはそのことを直感的に理解しているのではないだろうか。不在であるはずの目的がずばり言い当てられてしまっていることが僕らの行動を不可能にしているのではないだろうか。

僕はニートに希望を持っている。なぜならニート達は現代社会が虚構でしかないことを理解しているからだ。現実をラディカルに変革していく主体はニートでしかありえない。ニート、この怠惰で不真面目で気まぐれな神々が現実を転覆する。

現代社会にはたくさんのスイッチがあると思う。僕はそれを一つずつ破壊していってやろうと思う。能力とか努力とかで神秘化されている幻想を全部ひっぺがしてやろうぜ。それで現体制でデカイ顔してるヤツラをおおっぴらに馬鹿にしてやるんだ。王サマは裸だ。

もっとワケガワカラナイものを増やしてやるんだ。意味とか目的とかに回収できないものをもっと増やしてやるんだ。ヤツラに取り込まれるな!ヤツラはどんな手段でも使って僕らを懐柔してくるぞ!どんな理解も追いつけないようなスピードで不条理、無意味、説明不能を叩き出すんだ。これしか方法はない。これしか出口はないんだぞ!僕らが生きていけるような本当の自由の王国を打ち立てるには。さあ!ニート達よ!立ち上がれ‼ここがロドスだ‼ここで跳べ‼!‼